同一労働同一賃金への対応ができなかった場合に生じる不利益
1 ケース
X社は、ビルのメンテナンス、清掃等の施設管理を事業として行う会社である。
X社は、正社員に対して危険手当(高所における清掃業務に対して支払われる手当)は支払っていたが、非正社員に対して危険手当を支払っていなかった。
X社は、同一労働・同一賃金に関連するニュースを見て対策をとらなければと思っていたが、どこに相談すればいいのか分からず、問題を放置してしまっていた。そうしたところ、非正社員の一人が危険手当の待遇差に納得できず、裁判所に損害賠償の訴えを提起した。
2 どのような不利益が生じるか?
(1)多額の損害賠償請求を受けるリスク
同一労働・同一賃金に対応できなかった場合、非正社員から損害賠償請求をうけるリスクがあります。
今のところ、基本給・退職金・賞与等額の大きな賃金の待遇差を不合理とした最高裁判決はありません。しかし、今後出てくるおそれはあります。そうなった場合には、多額の損害賠償を支払う必要があります。
また、手当の待遇差を不合理とした最高裁判決はすでに何件か存在します。いずれの手当てもだいたいが月2~3万円程度のものです。
しかし、それが1年、2年と積み重なっていけば、支払い額は数十万円に達することもありますし、複数の非正社員が一挙に退職して損害賠償請求してくることもありえます。そのときには、支払額が数百万円に達することも出てきます。
(2)人手不足
周囲の会社が同一労働・同一賃金に対応して取り残されてしまえば、自社だけ非正社員の待遇が悪いままになり、非正社員の応募が少なくなってしまい、人手不足になってしまう可能性もあります。
3 まとめ
上記2つの不利益に鑑みると、同一労働・同一賃金への対応は待ったなしの状況にあります。
対応が遅れれば遅れるほど、不利益が大きくなってしまうことからしても、早めの対応を心がけましょう。
弁護士法人シーライト
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