顧問弁護士の選び方

1.法律事務所や弁護士の得意分野・特徴はホームページ上の情報を参考に

弁護士は法律の関連することであればなんでも取り扱うことができます。ただ、弁護士や法律事務所ごとに得意とする業種や取り扱い分野に特徴があります。なんでも取り扱えるけれど、なんでも得意というわけではないのです。

Webで様々な情報検索が可能となった昨今では、ホームページ(以下、HP)などで情報発信をしている法律事務所や弁護士が増えました。
そのため、顧問弁護士を選ぶにあたっては、HP上の情報がとても参考になります。ここでは顧問弁護士を選ぶにあたって見るべきHP上の情報のポイントを解説します。

2.ポイント1 得意分野と実績に注目

顧問弁護士を選ぶにあたり、まずその法律事務所や所属弁護士の得意分野と実績に注目しましょう。

例えば、企業は人で成り立っているため、1人会社でなければどの企業においても必ず発生するのが労務ですので、労働法分野が得意であったり力を入れていたり実績があったりするのかという視点です。労働問題の相談をしたいという場合、離婚問題が得意という情報を得ただけでは顧問弁護士として適切か否か判断できません。

また、ビジネスには様々な業界があります。不動産、建設、製造、商社、IT、介護、医療など様々な業界ごとに業種特有のルールや慣習もあります。そのため、その業界に関連する分野を取り扱っているのかという視点でも情報を見ていくとよいと思います。例えば、社会福祉法人の場合これに関連する法規、通達のほか、医療が関連する分野や万が一のことが起きた場合の事故対応(人身賠償)についてもノウハウを持っているのかなどです。

3.ポイント2 弁護士・法律事務所との「相性」が合うか

ここでの「相性」とは、コミュニケーションがとりやすいかレスポンスの速度は適切かといった意味になります。

顧問弁護士・法律事務所とは長い付き合いになることが多いです。顧問弁護士・法律事務所とご自身や会社のカラーとが合わないとなると、ちょっと聞きたいことがあるといったときに気軽に聞いてみようとはなりにくく、せっかく顧問契約をしている意味がなくなってしまうかもしれません。
HP上の記事やその法律事務所の理念などから、ご自身や自社にとってコミュニケーションがとりやすいかを考えてみると良いでしょう。

また、ビジネスは日々動いていきますので、ちょっとしたことを聞きたいという場合にレスポンスが悪いとビジネスへの支障となりかねません。

ビジネスのスピードに合わせた迅速な対応を意識しているかどうかをHP上の記事から考えてみるとよいでしょう。

4.ポイント3 経営者の立場をよく考えた提案をできるか否か

  • 顧問弁護士が単に法律や判例に基づく回答しかしてくれない。
  • 顧問弁護士が経営者の機嫌を損ねないようにとその考えに安易に迎合してしまい法的な根拠やリスクについて説明をしない。

こういった状況になりますと、顧問弁護士としては十分な役割を果たしていない可能性が出てきてしまいます。

経営者の立場をよく考えた意見・提案、ときには経営者にとって耳の痛い意見であっても真摯に説明してくれそうかという点も顧問弁護士・法律事務所選びのポイントになります。

例えば、問題社員を解雇したところ、その社員から解雇無効と損害賠償の請求を受けてしまった場合、多くのケースで会社側が不利です。

このような状況下で、顧問弁護士から「判例によれば会社側が不利で負け筋です」という意見を受けるだけでは不十分ですし、根拠もなく「社長の解雇判断は正しかったから放っておきましょう」と言われても不十分です。

このような場面においては経営者の立場として、問題社員に簡単に賠償金を支払ってしまっては他の社員に示しがつかないというケースもあるでしょう。そういった立場に配慮し、会社に不利であるという厳しい意見は述べつつも、全力で戦う場合のメリット・デメリット、全面的に問題社員の言い分を認めた場合のメリット・デメリットについてきちんとした説明し、どういった選択をすべきか一緒に考え、悩み、厳しい局面でも最善を尽くすための提案をしてくれるという弁護士・法律事務所が顧問としての役割をしっかり果たしてくれていると言えるのではないでしょうか。

5.付き合いが長くなるほど顧問弁護士のお役立ち度が向上

顧問弁護士・法律事務所との付き合いが長くなるほど、弁護士・法律事務所側でも貴社のビジネスや組織体制、内情などを深く理解し、より適切なアドバイスを受けられるようになっていき、社外法務部のような役割を期待できるようになっていきます。

長い付き合いに価値が出てくるからこそ、得意分野や実績・相性が貴社に合い、経営を法務・労務面でサポートしてくれるパートナー的存在を探してください。

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弁護士法人シーライト

弊所では紛争化した労働問題の解決以外にも、紛争化しそうな労務問題への対応(問題社員への懲戒処分や退職勧奨、労働組合からの団体交渉申し入れ、ハラスメント問題への対応)、紛争を未然に防ぐための労務管理への指導・助言(就業規則や各種内規(給与規定、在宅規定、SNS利用規定等)の改定等)などへの対応も積極的に行っておりますのでお気軽にご相談ください。

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