パワハラについて
Contents
1 パワハラとは?
①「社員Aから社員Bからパワハラを受けているとの報告があった」
②「咳払いや舌打ちで部下を精神的に追い込む管理職がいるが、どう対応すべきか?」
③「残業代請求にともなってパワハラによる損害賠償請求をうけた。今後このようなトラブルは生じないようにしたい」
パワハラはセクハラとは異なって、不快=ハラスメントとはなりません。セクハラについては、性的言動を職場に持ち込む必要はないので、相手が嫌だと感じる以上、改められてしかるべきことになります。
これに対して、指導や注意、叱責は、人材育成や業務の円滑な遂行、職場の秩序維持にとって不可欠であって、それらを受ける側にストレスはつきものです。そのため、不快=ハラスメントとはなりません。ですので、①社員Aが不快と思っていても、ただちに社員Bがパワハラを行っているとはいえないことになります。
しかし、そうなると、何をもって「パワハラ」といえるかは、難しいことになります。
2020年6月1日に施行された、いわゆるパワハラ防止法(改正労働施策総合推進法)では、
・職場において行われる優越的な関係を背景とした言動であって
・業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより
・その雇用する労働者の就業環境が害されること
という3要件に整理されましたが、これでもやはり何がパワハラとは一概にいえないことになります。基本的には「労働者の主観」をひとつの考慮要素としながら、「平均的な労働者の感じ方」を基準としてパワハラにあたるかが判断されます。
2 パワハラがあったとき、パワハラの疑いがある行為があったときどうするか?
②パワハラの疑いがある行為を見つけたとき、最もやってはいけないことは、安易に解雇してしまうこととハラスメントを放置してしまうことです。
安易な解雇は、後に違法な解雇だったとして多額の損害賠償を支払わなければならない事態につながることがあります。また、パワハラを放置すれば、被害者がうつ病になって働けなくなる、最悪の場合には自殺することもありえます。
こうした事態に陥らないためにも、初期対応が重要となります。しっかりと双方から事情を聴き、証拠に残した上で、適切な対処をする必要があります。
具体的には、部下が脆弱なのか、管理職に指導の行き過ぎがあるのかを早期に見極め、両者を引き離すために異動を検討することになります。
3 パワハラが起こらないようにどうすべきか?
パワハラもふくめたハラスメント問題は、双方の認識のずれ、つまり「やっている側はハラスメントと思っていないのに、やられている側はハラスメントと感じていること」にあります。
したがって、自分の感覚でパワハラであるのか、パワハラではないのかを判断していては、その溝は埋まらないことになります。客観的な視点から、何がハラスメントにあたるのか、何に気を付ける必要があるのか、アドバイスを受けなければいけません。そのため、③今後このようなトラブルが生じないようにするには、弁護士が法的な観点を踏まえた研修をすることが不可欠です。
4 まとめ
業務上、適切な指導や注意、叱責を行うことは不可欠です。そのため、部下を叱ること=パワハラというわけではなく、何がパワハラなのかはっきりとしないところがあります。しかし、パワハラの疑いがある行動を放っておいたり、逆にパワハラと即断して安易に処分をしたりすると、あとで大きなトラブルを生むことになります。
そのため、常日頃、パワハラに対してはアンテナを張って対処していくことが必要になります。しかし、経営者の方がそういったことで頭を抱えて業務に時間を割けなくなるのは、企業の発展にとってマイナスです。
こうした事態にならないよう、パワハラ問題にお悩みの経営者の方はぜひ当事務所にご相談ください。
弁護士法人シーライト
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