マタハラについて
Contents
1 マタハラとは?
「産休・育休取得希望の社員がいる」
「マタハラを訴えている社員がいる」
マタハラとは、マタニティハラスメントの略で
① 産休等を利用に関する言動により就業環境が害されること
② 妊娠・出産・産休等に関して解雇そのほか不利益な取り扱いを示唆するもの
に分類されます。
2 ① 産休等を利用に関する言動により就業環境が害されることとは?
(1)具体例は?
嫌がらせ行為の例としては、妊婦に対して「妊娠して休めるなんていいな」と言うことが考えられます。
(2)対策は?
ア 発生した場合の事後対応はどうすればいいか?
マタハラが発生した、またはマタハラが起こっているかもしれない場合に最もやってはいけないことは、ハラスメントを放置することです。焦らず落ち着いてしっかりと事情を聴き、事実を正確にとらえたうえで適切な対応をする必要があります。
ハラスメントの有無や内容について双方からヒアリングをし、調書として記録にも残しましょう。
イ 予防
マタハラが起こらない職場を作るためには、マタハラの周知と研修が有効です。経営陣が率先してハラスメントを起こさない環境づくりを宣言しましょう。
研修に関しては、何がマタハラにあたるのか、マタハラを起こしてしまった場合などについて弁護士が法的観点を踏まえた研修を行うこともできます。
3 ② 妊娠・出産・産休等に関して解雇そのほか不利益な取り扱いを示唆するものとは?
(1)具体例は?
「育休・産休取得の際に役職を降格させられた」「退職を勧められた」といったことが考えられます。
注意すべきは、「妊娠した女性社員を残業や出張が多い部署から異動させる」といった、嫌がらせ目的ではない措置も就労上の配慮もマタハラとなりうることです。
たとえば、広島中央保健生協事件では、妊娠を契機に軽易作業への転換を希望した女性労働者に対する取扱いが男女雇用機会均等法9条3項に反し、違法となりました。
ポイントとしては、以下の4点になります。
① 使用者は本当に軽易なのかどうかわからない業務へ転換させていたこと
② 労働者は、管理職から非管理職に変更された上に、管理職手当をもらえなくなったという重大な不利益をうけたこと
③ 労働者は、職場復帰後も非管理職として勤務を余儀なくされており、一時的に非管理職となったとは認められないこと
④ 十分な説明をした上で、同意を得るという手続きをとっていなかったこと
(2)対策は?
やはり弁護士に相談して適切な手続きをとることが大事です。
広島中央保険生協事件でも、①軽易な業務に転換させて、③一時的に非管理職とし、④十分に説明を行っていたのであれば、結論が異なっていた可能性があります。
漫然と「妊娠していて残業が多い部署から異動させよう」という措置は避けなければいけません。
当事務所にご相談いただければ、今お考えの措置をとることができるか、できない場合にはどうすればいいのかについてアドバイスいたします。
4 まとめ
マタハラは広い概念ですが、労基法、育児介護休業法、男女雇用機会均等法等様々な法令が関わっており、複雑な分野です。トラブルになる前に、ぜひ当事務所にご相談ください。
弁護士法人シーライト
最新記事 by 弁護士法人シーライト (全て見る)
- 事務所名変更のお知らせ - 2024年9月27日
- その身元保証、有効ですか?身元保証契約の有効期間や注意点等について解説 - 2024年9月24日
- メンタルヘルス不調が原因で問題行動・勤怠不良を繰り返す社員の解雇 - 2024年7月25日