運送事業者様のための法務・労務サポート
Contents
1 運送業に特徴的なお悩み
(1)労働時間管理の問題から生じる残業代の問題
近年では慢性的な人手不足からくる長時間労働が常態化しており、長距離運転をする運送業では特にその傾向が顕著です。
慢性的な人手不足のため採用難もあり、労働者側の発言力が高まってきております。
その上、働き方改革関連法の成立により、労働者側の権利意識も高まってきました。
そのため、労働者から未払残業代請求を受ける例が増加傾向にあります。
就業規則や雇用契約書の定めがあいまいなことも相まって残業代の問題は複雑となりがちで、法律の専門家のサポートが必須です。
(2)雇用形態の多様化から生じる契約書・就業規則の未整備問題
慢性的な人手不足や業界慣習から、運送事業者は、正社員のほか、派遣社員や契約社員、傭車契約、業務委託など、様々な人員を抱えております。そのため、労務管理が複雑となりますので、就業規則や契約関係はきちんと整備されていなければトラブルが頻発しかねません。
しかし、基本となるこれら人員との契約書が非常にあいまいで、業務委託契約書と題しながら直接雇用の契約書ととられかねない契約がされていたり、契約社員から同一労働同一賃金に基づく請求を受け多大な人件費が発生しかねなかったりといったケースなども散見されます。
残業代の問題と合わせ、労働環境の改善を図りつつ、整備を進めなければならない場面と言えます。
(3)業務中の交通事故や労災事故をめぐる様々な問題
長時間労働や長距離運送が避けられない運送業にあっては、交通事故や労災事故が発生するリスクを常に抱えております。交通事故や労災事故が発生した場合には、企業は、民事上の責任や刑事上の責任、行政上の責任を問われるおそれがあります。
事前にこれらのリスクを低減させつつ、万が一問題が起きた場合に適切な対処ができる体制を整えておく必要があります。
2 当事務所による法務・労務サポート
(1)労働時間管理の適正化に向けたサポート
運送業界において慢性的な人手不足が生じている一因として、労働者の目線から見て不安を感じる労務管理になっていることが挙げられます。
そのため、このような労働者心理に配慮して適正な労務管理を実現することで、既存の従業員の離職率を低下させるとともに、採用にあたっての応募率を高めることにつながるものと考えられます。
また、「あの契約書をもっとしっかり整備しておけば・・・」「あのとき就業規則も整備しておけば・・・」、という場面に多々遭遇してきた立場からしますと、就業規則や契約書は、トラブルが生じたときにこそ意味があるものとなります。
当事務所では、就業規則や雇用契約書の見直し、多様な働き方の導入など、様々な施策の導入についてサポートいたします。
そして、この一環として問題となりうるのが未払い残業代の問題ですが、この問題を放置することはとてもリスクが大きく、問題が大きくなってからの対処では経営に大きな打撃となりかねません。企業側で支払うことができる人件費の割合を踏まえ、どのような労働条件や労働時間管理を行うことができるのかを検討、対応するにあたってのサポートもいたします。
詳しくはこちらのページをご覧ください。
(2)交通事故対応については数百件に上る豊富な実績
当事務所は交通事故事件について累計300件以上の豊富な解決実績があります。
運送事業者の方からもご相談をいただき、運送中の事故についても多数対応致しました。また、交通事故に付随する労災対応や、不慮の事故や過労などから生じる労災対応についても豊富な知識、経験を有しております。
交通事故や労災事故が生じた場合における、対第三者(保険会社、加害者、被害者、荷主等)対応や従業員対応についてご相談いただくことで、トラブルを早期に解決したり、有利に話を進めたり、トラブルに煩わされる時間が大幅に減少したりといった効果を得ることが可能となります。
(3)問題社員対応
そのほか、当事務所では事業の発展の妨げとなっている問題社員対応などもサポートしております。
詳しくはこちらのページをご覧ください。
3 運送業を経営されている事業者の皆様へ
我が国ではEC市場やインターネット通販の急速な拡大により物流の重要度が高まりました。そのため、運送業界では長時間労働が常態化するなど労働環境が悪化し、これに労働人口の減少が重なって採用難となり、慢性的な人手不足・従業員の高齢化が加速する傾向にあります。人手不足はさらに長時間労働に拍車をかけ、未払残業代の問題や過労から生じる労災問題にも発展する例は珍しくありません。また、人手不足から契約管理などもずさんになり、取引先(元請け・下請け・荷主等)との契約トラブルも生じやすくなります。
運送業界は、慢性的な人手不足を解消する必要から、政府の掲げた「働き方改革」に対応しつつ、人員確保のためのホワイト起業化を目指さなければならないなど、難しい経営課題を抱えている現状にあろうかと思います。
しかし、昨今の世情から見るに、運送業界を取り巻く労働環境を改善していくことは、慢性的な人手不足や従業員の高齢化を解消し、企業が持続的に成長していくために避けては通れない課題と言わざるをえません。そのため、時代の変化に即応し、働き方改革関連法を遵守し、コンプライアンス経営を確立することのできた運送事業者が、結果として、従業員から選ばれ、顧客からも選ばれ、ひいては厳しい競争環境の中で生き抜いていける企業になっていくものと思われます。当事務所においても、その一念から、「所員一同の公私に渡る充実」及び「所員一同が誇りを持てる組織になること」をその理念に掲げ、日々労働環境の改善に取り組んでおります。
当事務所では労務環境の改善について様々なサポートが可能です。
労務環境の改善を事業の発展に繋げていただければと思います。
弁護士 阿部 貴之
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